12月, 2014 Archives

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スライドショースライドショー

鳥羽・志摩の旅、「鳥羽の廃墟、答志島のマルハチ」の続き。

二日目、鳥羽には何もないので志摩方面に行く。ちなみに前回のエントリでも書いた戸田屋さんは朝食も美味しかった。
この辺には志摩スペイン村やらのテーマパークもあるので、普通の観光旅行とか子供連れの方はそっちに行ったら良いと思う。正直、あまりの寂れっぷりに、寂れたところの方が好きなわたしですら、「もうスペイン村とか行って普通に遊ぼうか」という気持ちに傾きかけたけれど、気合で渋いところを狙った。

まずは近鉄の鈍行で南下して志摩横山駅で下車。
ここから西の方に向かうと横山展望台というのがあるらしく、距離的に駅からも歩けそうなので、そこに行くことにした。
わたしたちは、とりあえず鳥さえいれば元が取れるリーズナブルな人たちなので、何もないなら何もないで良し。鳥も珍鳥を狙う気はない。シジュウカラでもいい。

近鉄鈍行はワンマン運転で、志摩横山も無人駅。運転手さんが料金を受け取っていて、バスのノリ。

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駅の周りには何もない。看板が渋い。

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よく分からないけれど美しい建物があった。何だろう。昭和初期くらいの建築に見えるけれど。

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ビジネス横山が傾いている。

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猫がメンチを切っている。

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志摩横山駅から横山方面に向かう道。綺麗な道で歩道もあって歩きやすい。歩行者はわたしたち以外に全くいない
でもそれが気分が良いし、傾斜も緩やかで大変歩きやすかった。

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ホオジロ。ヒッヒッと言っているのでいつもヒタキかと思うけどよく考えると全然違う。

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ジョウビタキのメス。

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ジョウビタキのメス。可愛い。

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道路を横断している足あとがある。イノシシか鹿だと思う。イノシシかなぁ。
最近山賊ダイアリーを愛読していて「猟師カッコイイ!」と思っているのだけれど、やっぱ分からん。

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2km弱ほど歩くと、横山ビジターセンターに到着。入口には海女さんの像があるけれど、なんか変な生き物風。

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アイドリングスットプ。

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横山ビジターセンターには地元の風物に関する展示があるのだけれど、この虫の標本なんか気合いが入っていて面白かった。凄いなぁ。

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「森のエビフライ」。まつぼっくりをリスが食べた跡なのだという。面白い!

で、ここから横山展望台に向かっていくのだけれど、展望台そのものは車でも行ける。直線なら500mくらいの距離。
でもそれでは面白くないので、ビオトープの辺りを回ってハイキングコース的なルートで登ることにした。
しかしどこで道を間違えたのか、遥かに大回りするルートに入ってしまい、30分以上よく分からない誰もいない山道をひたすら登り続けることになった。
やっと辿り着いた時には汗だくで、しかも他の人は車で来ている。
あの日あそこで一番頑張ったのはわたしたちだと思う。ほとんど人はいなかったけれど、自慢したくて仕方なかった。
というか、横山ビジターセンターの時点で、徒歩で来るのはわたしたちくらいのものだと思う。

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苦労しただけあって、眺めは素晴らしい! リアス式海岸!

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メジロ。

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カワラヒワ。

さて、横山展望台をやっと攻略し、横山ビジターセンターまで戻った。
そこからまた志摩横山まで戻っても良かったのだけれど、どうせなので一駅先(南)の鵜方という駅まで歩くことにした。
志摩横山から鵜方へは、国道沿いに歩けば普通に行けるのだけれど、これまたどうせなので裏の旧道沿いを歩くことにする。横山ビジターセンターで見た地図では、このルートが何とか自然歩道みたいなルートとして描かれていたのだ。
ところが、一応、横山ビジターセンターにいた係の人に歩けるコースかどうか尋ねてみると「国道沿いに行った方がいいですよ」と言う。
「地元の人は車生活で、なんでもない裏道なんか歩くのはバカバカしいと思うんだろうな」と気にしないで出発してみたら、理由が分かった。
この裏道、歩道のない狭い道で時々車も通るので、二人並んで歩くと怖い感じだ。なぜこんな道が何とか自然歩道に選ばれているのか分からない。国道沿いの歩道を歩いた方が安全だと思う。
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鵜方へのルート沿いにあったオチャッピー小物。

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なんか傾いてる。

無事鵜方駅に到着。
観光地ではなく、完全に地元ワールドだけれど、それなりの規模の町だった。
ここでまた近鉄に乗って、いよいよ終点の賢島へ。
賢島は元々無人島だったのを、近鉄が観光開発した場所だ。
高度成長期に電鉄会社が作ったリゾートの一つだと思う。沿線沿いを宅地開発、端っこを観光化、みたいな戦略だ。小田急における箱根的ポジションだと思う。いや、箱根はもっと歴史的だから違うかな。違うかも。
まぁとにかく、志摩という場所そのものが、京阪神から見ると、東京における熱海的な場所だ。
高度成長期までは新婚旅行で行く場所、90年代とかも大学生がサークルの合宿で行くような場所だった。
つまり、今となっては寂れ果てている場所の代表だ。

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しかし賢島の寂れっぷりは予想以上だった。ここに比べたら熱海なんか大都会だ。

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とりあえず昭和的な真珠屋しかない。それもやってるんだかやってないんだかよく分からない感じだ。
凄いのが、駅周辺にふらっと入れる飲食店がほとんどないことだ。
少なくとも、夕方5時を過ぎたら土産物店も飲食店も一つもやっていない。

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駅前に壊れた煙草の自動販売機があったのだけれど、煙草の値段が270円だった。
おそらく、ここの人たちは真珠養殖が本業で、販売やら観光業やらは仕事の合間に片手間でやってる感じなのだろう。そうでも考えないと意味が分からない。
もういっそ、この辺丸ごとサバゲーフィールドにでもした方が儲かりそうだ。

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ここの目玉は遊覧船のエスペランサ号
すごく昭和チックな発想だけれど、船そのものはそれほど古い感じがしない。帰ってから調べたら平成7年就航だった。

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日本の寂れた港町にパチもんの帆船が浮いているシュールな風景。もちろん、帆は見た目だけだ。そしてなんか変なオッサンが乗ってる。
乗客はわたしたちを入れて8人くらい。スタッフの数の方が多いんじゃないか。前の回に乗っていたお客さんとすれ違ったけれど、アジア系外国人が目についた。

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ホンマこのオッサンは何なんや。三重県とスペインにどういう繋がりがあるのか知らない、というか繋がりが何かあってもどの道シュールすぎる。
船上では「左手に見えて参りましたのは・・」みたいな案内アナウンスが流れているのだけれど、ある所まで来ると「志摩に伝わる民謡」が紹介されて流れてくる。
英虞湾を走るパチもんのスペイン帆船、そこで流れるエンヤートットな民謡。これ以上シュールな状況があるだろうか

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しかしいざ出航してみると、予想より遥かに楽しかった
なんというか、普通に走っているだけで楽しい。前日に乗った連絡船とは全然違う。客も少なくて子供もいないから、寒いけれど甲板の上から景色を堪能できる。
英虞湾は穏やかな海で、それで真珠養殖が発展したそうだけれど、確かにとても穏やかで、湾の入口近くに行った時だけ風が強くなっていて、納得した。

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リアス式海岸の風景は美しいし、寒くてもずっと甲板にいたくなる。50分1500円だけれど、全然値打ちある

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イカダの上で海釣りをしている人がいる。
時間になると船が迎えに来てくれるのだろうけれど、この物凄い寒い場所で何を考えているのだろう。取り残されたら軽く死ねる場所だ。
kiwi氏が「本当に釣り人はどこにでもいるんだよ!」と力説していたけれど、その通りだと思った。釣り人の釣りにかける執念は異常だ。

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船は途中で、真珠の核入れ?をやっているという現場に立ち寄る。
そこの小屋の中でおばちゃんが作業を説明してくれるのだけれど、勿論リアル作業ではなくて演出で、メインは真珠販売だ。
第三世界の観光地なんかだと、タクシーの運ちゃんがボッタクリ土産物屋とグルになっていて、訳もわからず連れて行かれることがあるけれど、まぁ大枠の仕組みとしては一緒のことだ。
でもここの販売のお父さんたちは、お客さんが帰ったら速攻テレビの前に戻っていそうな雰囲気で、テンションは非常に低い。全く売れる気配はないので、引退後のお父さんが駐車場の番をしているくらいの感じなのだろう。
ちなみにここに猫がいて可愛かった。

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ぐるっと回って帰ってきたエスペランサ号。皮肉じゃなく、本当に楽しかった。

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港周辺の看板。

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そしてソフトクリーム300まんえんのセンス。
このソフトクリームを売っていた店が、港の辺りで唯一やっている店だった。
なんか荒っぽいローカル向けっぽい雰囲気があって(この辺のおばちゃんは全般に口調がワイルドでちょっと怖い)、「ここはちょっとなぁ」と思って周りをグルッと回っていたら、その間のこの店も閉店していて、結局開いている店がゼロになっていた。

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駅前の土産物店。
こちら側が壊滅状態なので「駅の向こうのメインの方に行こう」とぐるっと回ったら、この壊滅状態の方がメインだった。裏はタクシー乗り場しかない。
すぐそばに志摩マリンランドという水族館があるのだけれど、わたしたちが着いたのは夕方の閉業間際で入れなかった。食堂も既に閉まっていた。そばにはテニスコートなどのあるリゾートがあるらしいので、そこはそれなりに人がいるのだろうか。そうも思えないのだけれど・・。
とはいえ、エスペランサ号は本当に楽しかったし、風景は美しいし、最果て昭和スポットを堪能できて大変充実した。
デートで訪れてこの危機を共に乗り越えることができれば、二人の絆がこの上なく強まること請け合いだ。
カップルらしいカップルはわたしたち以外にゼロだったけれど。

(このエントリの写真はkiwi氏撮影)

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鳥羽、志摩を旅行してきた。
結論から言うと、物凄く楽しかった。
ただ、正直到着した時は、あまりの寂れぶりにちょっと引いた。日本の地方観光地なんてどこも似たり寄ったりの寂れ具合ではあるし、鳥羽界隈に廃墟が沢山あるのは知っていたのだけれど、いざ目の前にするとなかなか凄まじかった。ただ、ある程度見慣れてくると昭和スポットぶりが面白くなってきたし、良い所も沢山あって、とても充実した旅になった。
華やかなところが好きな人には全く勧めないけれど。

東京方面から新幹線で名古屋まで、そこからJR快速みえで鳥羽に向かった。帰りは近鉄特急にしたけれど、これは近鉄の方が正解。JR快速はなんか変な音して奇妙な電車だった。ディーゼルじゃないと思うんだけど、なんか空ぶかししているみたいな音がしてて、あれは何なのか電車に詳しい人に教えてもらいたい。
鳥羽駅に到着、とりあえず名物らしい手ごね寿司を食べる。これはなかなか美味しかった。
で、廃墟。

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ニュー美しまというホテルの関係らしい。

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駅前にある鳥羽パールビル名店街。これも丸ごと潰れている。

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ふと見ると、訳のわからない宝船みたいな遊覧船が走っている。物凄く昭和だ。

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船着場もこんなに。

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海の向こうに見えるのがニュー美しま。

鳥羽駅周辺は水族館・ミキモト真珠島以外に見るところはない。水族館は入らなかったけれど、ちょっと魅力は感じた。この辺りは言わずとしれた真珠の名産地なので、とにかく真珠屋ばかりが大量にある。

答志島という島に渡ることにする。答志島は鳥羽の向かいにある島で、連絡船が通っている。
連絡船の待合所はなかなか綺麗な建物で立派だった。

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でも昭和チックな要素には事欠かない。

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これ、パネル自体は古くないんだけれど、あえて今これをやるのはどうなの。

船に乗っているのはほとんど地元の通勤通学らしい人たち。観光客はほとんどいなくて、一緒に荷物やらをガンガン積み込んでいて、大変生活感がある。
すぐに和具港に到着。一応この近くには答志島温泉というのがあるらしい。

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この写真で見ると普通にのどかな漁港という感じだけれど、到着したのが夕方で、年末近くの風が強い日だったので、物凄く寒くて全く和む余地はなかった

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「歓迎」と書かれているけれど、雰囲気的には歓迎ムードはない

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おしゃれくさいガイドブックに「スローライフを楽しむ」みたいな紹介のされ方をしていて、若い女の子が散策している写真なんかが載っていたけれど、単に生活感あふれる漁村で、観光地ムードは全然ない。むしろ「何しに来た、見せモンじゃねぇ」的な殺気を感じる。寒かったせいで心が荒んでいたのだろうか。
もちろんおしゃれな女の子はいない。カフェなんかない。漁師のおっちゃんしかいない。そこが硬派でシビれる。

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ここも昭和チックな渋い店があるが、営業はしていない。港付近で入れそうな店は一つもなかった。
高度成長期のままのような旅館はあり、一見廃墟かと思って近づいてみたら、電気が通っていた。多分あの辺の旅館に泊まってそこで飲み食いする以外にないと思う。

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この答志島で一つ、大変おもしろかったのが、この「丸に八」マークがどの家の入口にも描かれていることだ。

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この家の入口にも丸八。

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これは地域の風習らしく、魔除け的な意味があるらしいのだけれど、ペンキか何かで手書きしてあるだけなので、何ともおどろおどろしい感じがする。

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大きさも書き方も様々なのだけれど、とにかく至る所に丸八がある。
なんというか、旅人は油断していると食べられてしまうんじゃないかというか、まだキツネが人を化かしていた時代の日本的な妖気があって、とても興味深い。
ちなみに、島のおばあちゃんが喋っている言葉が、盗み聞きしているとかなり聞き取れなかった。わたしは京都に十年以上住んでいて、一般の「標準関西弁」的な言葉は身体の中にある、というかそんなもんなら東京の人でも聞いて分かると思うのだけれど、お年寄りの言葉は結構ディープ方言だ。

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これは「血洗い池」という観光スポットらしいのだけれど、単に民家の裏にある池にしか見えなかった。

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「冷暖房完備」の喫茶店。営業はしていなかった。していても多分ローカル専用な空気だろう。

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とにかく渋い漁村。それにしても、こうして写真で見るとなんか良い雰囲気に見えて不思議だ。やっぱり寒さで心が荒んでいたのだろうか。
島で走っているのは多分半分以上軽トラ

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イソヒヨドリだ!

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渋いけれど、自販機はちゃんと動いている。
元々観光一本な島などではなく、ちゃんと地に足が着いているから、日本の観光産業が寂しくなってきても死んだ世界にはならないのだろう。これで良いと思う。

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眺めはちゃんとイイ。
ここは「ゴミ捨てるな、捨てるなら階段壊す!」みたいな看板があった。ここの階段を釣り人なんかが使っているのだけれど、ゴミを捨てるヤツがいるらしい。それで近所の人がキレている風だった。

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島の路地。原チャが走っている。島の人は、見た限り全員ノーヘルだった。

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宿泊したのは、鳥羽にある戸田屋というホテル。かなり大規模な温泉旅館。
外観的には例によってバリバリ昭和なので「大丈夫かいな」と思ったら、大変快適だった。作りはやや古いものの、中は綺麗だし、料理は美味しいし、宿泊客も結構多かった。あの人達は何がメインの目的なのだろう。そういう自分も客なのだけれど。まぁ、何にせよ経営的にはそれなりにやれているようで安心した。
他にも何軒か大規模ホテルがあり、遠くから見ると「廃業してる?」と思ったのだけれど、帰ってから調べるとちゃんとやっているようだった。
とりあえず、この戸田屋さんはとても良い旅館でオススメできる。
フロント前にドクターフィッシュがいて、初体験したのだけれど、すごく気持ちよかった。
(この旅エントリの写真はすべてkiwi氏撮影)

つづく

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